沖縄にカニ専用トンネル、通称「カニさんトンネル」なるものが存在します。落石注意や、カーブ注意の標識と同じ様に「カニ注意」の道路標識もあります。これはイワガニや、オカガニが産卵の時に行う行動で、カニが安全に産卵が出来るようにする配慮です。これは一体どういうことなのでしょうか。私達が一生懸命に働いて払った税金を、カニの専用の物に使うとは何事か!とクレームをつける人はいません。それほど人はそのカニの行動に心を奪われてしまうからです。いったいイワガニは産卵時にどのような行動をとるのでしょうか。その神秘の世界をご説明いたします。

イワガニの産卵

イワガニ 産卵

イワガニの産卵時期はおよそ4月下旬から9月頃で、この時期に抱卵したメスが多く目に付きます。サワガニ等の川の上流に生息するカニは除き、多くのカニは卵を海に放つ為に、海を目指ざします。というのはカニの幼生は卵からかえると、カニとは全く違う形をしています。卵からかえると直ぐに小さいカニの形をしているのはサワガニくらいで、その他のカニの赤ちゃんはゾエアと呼ばれ、カニとは掛け離れた形をしています。海水浴中にクラゲに刺されたわけじゃないらしいけど、なんかチクリとした経験はありませんか?それはもしかするとカニの赤ちゃんのゾエアの頭の部分の突起が刺さったのかもしれません。

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ゾエアは動物プランクトンとして海を漂い、脱皮を繰り返して大きくなります。そしてだんだん大きくなって、胸や歩脚が発達してくるとメガロパと呼ばれます。そして、やがて稚ガニに姿をかえてもとの砂浜に戻っていきます。「カニさんトンネル」に話を戻します。イワガニや、多くのカニは満月の日の前後に、孵化直前の卵を抱えて海を目指します。沖縄のやんぱる海岸の周りは全て道路で囲まれている為、海に出る為には道路を横断しなければなりません。何千というカニが道路を横断します。その時に車の下敷きにならない様に、道路の下にあらかじめ渡りやすいトンネルを作っておくというのが、カニのトンネルの正体です。カニの産卵も命懸けなのです。

まとめ

イワガニは、海中に卵を放出する為に、満月に海を目指します。その数は数え切れません。

そして海に動物プランクトンとして出された、カニの幼生ゾエアは、脱皮を繰り返し、稚ガニになり元の海岸に帰ります。外洋まで出て行くカニの赤ちゃんがどうやって元の場所に辿りつくのかはまだ、解明されてはいませんが、運の良いものだけが、辿り着けるのではないかと容易に想像できます。そして大きくなったカニは、産卵の為にまた海に向かうのです。その様子は満月に誘われて現われる特別な儀式のようです。その大事な儀式を守るべく、「カニさんお助け隊」というカニの道路の横断をサポートする動きもおきています。メスのカニ達は、助けずにはいられないくらいひたむきに海を目指すのです。

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